『MIND+REAPER』




制作:JANIS
発売:2003/5/16
プレイ:2007年

ストーリー概要
私は・・・あなたを守りたい。
たとえ、心まで侵されたとしても

ごくごく一般的な学生であったはずの「七風 文也」は、ある通学中、見知らぬ男達に囲まれてしまう。
男は「君は私と一緒に来なければならない」とだけ語り、文也を拉致しようとする。周到に訓練された男たちの動きに阻まれ、逃げ場を失った文也。

そんな絶望的な文也の危機に現れたのは、同級生の深海 真薙(ふかみ まち)だった。・・。
なぜ、自分が襲われたのか? なぜ、この男たちは殺されたのか? なぜ、深海は平気で人を殺せるのか?
真薙は、静かにそしてはっきりと言った。
「・・・私があなたを守ってあげる。」




*ネタバレあり






森下 樹里

 依存症。孤独を何よりも嫌い、誰とでも仲良くなるすべを知っている。そんな彼女はかつて、幼い頃にもらったグローブに、その持ち主にずっと依存していた。
――誰かに必要とされたい。けれども、彼女は「お兄さん」と違うという理由で全てをはねのけてきたのではないだろうか。ぶっちゃけ、彼女が桐生に縋っている場面は引いてしまいましたよ。お前、一体何が嫌で、何が欲しいんだって。
 いやだってさ、彼女はこうして欲しいって言うだけ言って、その型に少しでも当てはまらないと拒絶するんだよ?これって、やっぱり彼女がおかしいって証明なんじゃないかなと。
 
 でも、それでもやっぱり、最後のEDは衝撃だった。樹里に対して、すごい冷めている自分がいたけど。彼だから、彼女だから、側にいたいわけじゃない。側にいて欲しいわけじゃない。ただ、「孤独」は嫌だからなのではないかと。



霧島 香奈

 あ〜痛いんだけど、このEDはすごい正しい気がする。彼女が彼を求めるわけがないってのは当然だし、かといってお兄さんを求めていないかというとそうでもなく。彼女の行動理念はつねに兄のため、その一言に尽きる。
 だからこそ、彼女が文也を見ないのは当然。なんだけれども、痛いなぁ〜。分かっていて確認する文也も痛い。文也を兄だと思い続ける彼女も痛い。自分は、一波乱あるかと思っていたんですが、違っていたんですね。もう、痛いしか言えない。



小日向 涼乃

 ん〜もったいない。すごくもったいない。設定としては素晴らしい。文也を憎むことも理解できるし、愛してしまっていることも分かる。だから、彼女が彼を殺そうとして殺せないのも納得。
 でもさ、なんでこんなにあっさり風味なのかな。すげー期待していたんですが。なんか拍子抜け。彼女が彼を殺しに来たシーンはよかったのに、それからなし崩し的になっていった気がします。でも、最後のシーンが好きなので許す。

「全てを回り終わったら、私があなたを殺す」
 殺せなかった、でも、殺そう。それが、自分たちに出来る愛の形だから。彼女にとって大切なモノは、もう彼氏かいない。きっと、彼の死は彼女の終わりを意味しているのだと思う。



七風 まどか

 私にしか文也は守れない。他のルートで彼の敵に否応なしになってしまうのは、彼が「普通」の生活が出来ないと分かっているから。彼がマインドリーパーであり、人類の助けとなる存在であるから。
 姉である彼女は、同時に隊長でもある。彼女はずっと姉として、女として、文也のことを思い続けていた。けれども、マインドリーパーを研究しなくてはならないことは良く理解していた。だから、彼女とは未来がないんだろうなと。苦悩し、裏切り、自由を望んだ彼女とは。

「姉弟でも他人でも良いじゃない。大事なのはきっと気持ちよ。だって、どんなことがあっても自分の気持ちは消えてしまうわけではないもの」
 彼女の行動は全て、この言葉で説明できるんじゃないのかな。文也を大切に思っていた彼女は、姉としてありたかった。一人の人間として、彼を守りたかったのではないか。



深海 真稚

 理由は分かっていたんで、さしたる驚きもなく。ネタバレはもうまどかルートでされていたようなもんですし。
 好きだからこそ、守りたい。側にいたい。その感情が集約されたシナリオだったんじゃないでしょうか。全人類よりも、彼女を、彼を。二人は選び、生きていく。過去を思い出す唯一のシナリオらしく、切なさが満タンって感じですね。
 あの頃に帰りたい、帰れたら。そんな風に本当に思ってしまいますね。何も知らずに生きていて、それを幸せだと感じていた頃。自分で壊してしまった日々。一瞬のぬくもりだけを頼りに、二人はこれからも歩んでいくんだろうな。



まとめ

 プロローグが自分的には素晴らしい。あの意味のわからなさと、これからの事を予感させる展開。彼は善か悪か。それとも、ただの巻き込まれてしまった被害者なのか。どうとでもとれる感じが好きです。
 だからだろうか、敵の正体が分かって、主人公のことがわかってしまうと後はどうでもよい感じになってしまった。マインドリーパーであることは、なんとなく分かっていたし、偽りの関係もうすうす気づいていた。ただ、敵よりもジャスティスの方が黒かったってのは驚いたけど。
 
 設定をうまく生かし切れていない。彼は騙されたことに烈火のごとく怒るけれど、自分が人を殺したことにはさほど罪の意識を感じていない。おそらく他人事だと思っているのだろう。けれど、彼は生きていく上ではそのことと絶対向き合わなければならないはず。なのに、こんな風で良いのかなと。
 
 善か悪か、勧善懲悪は本当にあるのか。そんな風に考えさせられた。だってさ、どっちも正しいように思えるじゃないか。視点の置き方によって違うだけで、彼らが願うことは同じな気がする。願いは同じなのに、どうして戦わなければならないのか。そんな憤りを雰囲気だけで感じさせるのはすごい。






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